【全国のまごころストーリーVol.9】
ジーバーFOODの皆さんに聞く
いくつになっても、イキイキ
元気に過ごすには?【前編】

2023/05/24

まごころストーリー

【全国のまごころストーリーVol.9】ジーバーFOODの皆さんに聞く 「いくつになっても、イキイキ元気に過ごすには?」【前編】

何歳になっても、毎日イキイキ過ごしたい。

そう思う人は多いはず。だけど「イキイキ過ごす」ためにはどうしたらいいのでしょう?

 

今回お話を聞いたのは、仙台市にある平均年齢70代の職場「ジーバーFOOD」。

ここでは地元の人々を元気にするため、おじいちゃんおばあちゃんたちが心を込めてお弁当を作っています。

 

ジーバーFOODに集まるシニアの皆さんは、明るく元気な方ばかり。

そんなジーバーFOODの皆さんに、日々をイキイキ過ごす秘訣について聞きました。

 

 

米沢加代子さん(70)

リーダー的存在。料理上手でオールマイティになんでも仕事をこなす。

 

福内裕子さん(71)

ムードメーカー的存在。天ぷらがプロ級。最近はSNSにも挑戦中。

 

安藤典子さん(72)

チラシのイラストや手書きメニューを担当。水彩画が得意でクリエイティブ。

水彩画がとても上手で、チラシのイラストや手書きメニューなどの制作も担当。

 

飯田澄子さん(73)

ほぼ皆勤賞な新スタッフの指導者的存在。手先がとても器用。

メンバー内で最も皆勤賞な、仕込み・調理・販売、 なんでもこなすとても頼れる存在

毎日小さなことでも必ず何か得るものがある

ジーバーFOOD 移動販売の様子

ー皆さん、ジーバーFOODに参加したきっかけは何だったのでしょうか?

米沢さん:私は親の介護のために仕事を辞めたんだけど、半年ほどで亡くなってしまって、ずいぶん気持ちが沈んでいたの。でも落ち込んでいてもしようがないし、「外に出よう」と思って出かけたら、ちょうどそこでジーバーFOODのチラシをもらって。家も近いし行ってみようかなって思ったのが始まりだったのよね。

福内さん:私は最初、新聞のチラシでジーバーFOODを知ったのよ。それまでにもどこかで働けないかなと履歴書を送ったことがあるんだけど、年齢で全部落とされちゃって。だけどここならおじいちゃんおばあちゃんでも働けるんだって知って、チャレンジしてみようって思ったの。

安藤さん:私の場合は、お友達がすすめてくれたのよ。「こんなのあるけど、どう?」って。決して私も暇じゃないんだけど(笑)、週に1,2回でもいいってことだから「じゃあ」って思って来てみたのがきっかけね。

飯田さん:私は暇だったから来たの(笑)。体を動かせたらいいなって思ってたんだけど、説明会に来たら同世代の人ばかりで居心地が良くて。みんなすぐに仲良くなれたわよね。それからずっとここで働いています。

 

ージーバーFOODでは、どんなことに楽しみや喜びを感じますか?

スタッフで賄いを食べる様子

福内さん:70歳を過ぎても社会の片隅にいられるのは嬉しいことよね。家の中ばかりいたら「ひとり寂しく高齢になって死んじゃうのかな」って思うけど、ここに来るとみんながいるから。同年代の人と同じ料理を作って、同じ話題で盛り上がって、地域の人のためにお弁当を作って……そんな時間を過ごすことで、社会の一員としていられる喜びを感じる。それに、毎日小さなことでも必ず何か得るものがあるのよね。みんなから学ぶことがたくさんあって本当に毎日楽しいの。

安藤さん:私はもともと町内で老人クラブや行事ごとに参加していたんだけど、ここに来てからそういう「社会に参加すること」の大切さをより実感できたような気がする。外に出て人と会って何かするのって、忙しないけど無駄じゃないんだなって。あと、若いスタッフさんが、私たちみんなの個性をキャッチして活かしてくれるのもすごいなって感心するわよね。

飯田さん:そうそう。娘より若いスタッフさんと働けるのは楽しいし、いつもこちらの意見を否定せず取り入れてくれるから働きやすいわよね。そういう意味でも、毎日刺激があってすごくおもしろいの。一緒に働く人たちも同年代だから、気が楽だしね。

米沢さん:よく健康のために「毎日運動しましょう」とか「毎日4,5人と話しましょう」とか言われるけれど、家に閉じこもっているとそれがなかなかできないのよね。家族とだけ話したり、時には誰とも話さない時もあって。だけどジーバーFOODに来れば、それらが一気に解決できちゃう。運動して、人と話して、一緒にご飯を食べて。心も体も、前よりもずいぶん元気になったように思うわ

社会の役に立てている実感が「イキイキ」を生む

ージーバーFOODで働くようになってから、性格や生活に変化はありましたか?

安藤さん:ここに来てからお友達に「イキイキしてるわね」って言われるようになったの。「私たちのこと忘れないでね」って言われるくらい(笑)。やっぱり社会の役に立てている実感があるからでしょうね。お弁当を作って届けたり発信したりすることで、社会と繋がれているなと思う。それに責任もって働くから緊張感があるのか、ずいぶん体も引き締まったのよ。この間写真を見比べてみたんだけど、昨年の春と今では全然違うの!

米沢さん:すごい! それはさらに半年後が楽しみね。

安藤さん:あと、ポジティブになった気がする。いつまでも嫌なことを引きずらなくなった。体を動かしてみんなと話すことで、切り替えがうまくできるようになったんだと思うわ。

福内さん:私もそう、元気になった! 夫からは「なんでそんなにジーバーFOODに通うんだ」って呆れられちゃうんだけど、行くととっても楽しいの。うちにいても、ずっと「明日はジーバーで何をしよう」「お弁当につける折り紙をどんなふうに折ろう」って考えてる。そんなふうにあれこれ考えるのが、ぼーっとテレビを見ているよりも楽しいのよね

米沢さん:そうそう。宿題が次々来るのよね。

飯田さん:本屋さんに行くと、ついお料理コーナーに行っちゃわない? ジーバーFOODで使えるアイデアがないかなって、アンテナを張り巡らせてる感じ。

福内さん:わかるわ。パーマ屋さんでもよく、雑誌のおかずコーナーをじっと見ちゃうのよ。「そんなにおかずに困ってるの?」って言われるんだけど(笑)。

米沢さん:私はなんだか、自分自身の生活リズムが新しくできた気がするのよね。これまでは家族の面倒ばかりに目が行っていたけれど、今は自分のことで精一杯でそれどころじゃない! でもそれが楽しいの。

飯田さん:私も休みの日は疲れてぐーたらしちゃうけど、仕事の日は楽しみで朝パッと目が覚めるわ。目覚まし時計なんていらないくらい。動くぶん体は疲れるんだけど、心は元気になった気がするわね。

年寄りにも「きょういく」と「きょうよう」が必要

お弁当に添えられる直筆のお手紙

ー皆さん溌剌とされていますが、日々をイキイキ過ごす秘訣について教えていただけますか。

安藤さん:「出かけて人に会う」、私の場合はこれ。無理のない範囲でコンスタントに、そういう予定を入れるようにしているわね。

福内さん:私も以前は娘によく「家にばかりいるとボケちゃうから、何も用事がなくても街に出て、みんなの動きを見ておいで」って言われたわ。ジーバーFOODに来るようになってからは言われなくなったけど。

米沢さん:うちの娘もそんなこと言ってた。「年寄りにも『きょういく』と『きょうよう』が必要なのよ」って。「今日行く場所」と「今日の用事」。

安藤さん:ああ、なるほどね! ジーバーFOODでそれができたわけね。

米沢さん:うちの夫は、毎日やることリストを書き出しているわ。網戸の掃除とか、草むしりとか。あと、買い物はなるべく遠いところまで歩いて行っているみたい。別に大したことをしなくても、知らない道を歩いてみるだけで刺激があるものよね。それにやっぱり人と話すのも大事。八百屋さんでも魚屋さんでも、こっちからちょっと一声かけてみるとかね。

飯田さん:本当にそう。あと、何か目標があると頑張れるわよね。私の目標は「元気でかわいいおばあちゃんになること」なの。どう、かわいい?

米沢さん:「かわいい」って言わせてるじゃないの(笑)。

ー最後に、これからの目標について教えてください。

飯田さん:とにかく元気でいたいわね。病気しないで、楽しく暮らしていきたい。

安藤さん:実は私、ジーバーFOODに来る前は体がだるい時期が続いていたのよ。でもここに来るようになってから、体力がついてだるさがなくなった気がするの。週に2,3回、自転車で20分かけて来ているからかもしれないわね。この状態を、無理なく続けられたらいいなって思うわ。

米沢さん:私も、今の仕事量がちょうどいい塩梅だと思う。そこまで無理なく、自主的に動いて楽しめる良いバランスなのよね。それをなるべく長続きさせたいわ。

福内さん:それが一番よね。健康を維持しつつ、町内の人にジーバーFOODを利用し続けてもらえるように、美味しいものを作れるように頑張りたいわね。

安藤さん:この間お弁当をお友達に届けたら「お袋の味がする」って言われたの。「だんだんとおばあちゃんたちの味が染み込んでいい味になってきた」って。みんなでメニューを出し合ったり、レシピを改善し続けることで、少しずつ自分たちの味になっているんでしょうね。これからもそんなふうにしながら、おいしいお弁当を届けていきたいわね。

 

ジーバーFOODとは?】  https://magocoro.me/gbfood/

「ジーバーFOOD」は、まごころサポートを展開するMIKAWAYA21株式会社と、まごころサポート仙台ユカリエ店の母体である株式会社ユカリエの共同プロジェクトです。地域のシニアの方々がお弁当を手作りし、仙台市内の企業に宅配したり、キッチンカーでの店頭販売を行っています。シニアの人材活用と、企業の健康経営、地域活性化というサイクルの産出・循環を目指しています。

▼後編はこちらから

【全国のまごころストーリーVol.9】ジーバーFOODの皆さんに聞く 若者もイキイキ!世代を超えた「元気の循環」。【後編】

<Photo:関 愉宇太、Text:土門 蘭>

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