全国のまごころストーリーVol.3
「私たちは、人生という旅路に
寄り添う『足』になる」(前編)

2022/07/27

まごころストーリー

全国のまごころストーリーVol.3 熊本KT店

今年で創業100年目を迎える熊本タクシー株式会社は、タクシー業の他にも、訪問介護や保育園、飲食店など、さまざまな領域に事業を展開しています。

 

そんな熊本タクシーさんが、今回新たにチャレンジするのがまごころサポート。

 

なぜタクシー会社がまごころサポートを取り入れることにしたのか、3代目社長の倉岡征宏さんにお話をうかがいました。

 

前編・後編に分けてご紹介します。ぜひご覧ください。

時代に合わせて事業を展開する熊本タクシー

ー熊本タクシーさんは、今年で創業100年目だそうですね。

はい。大正12年に、祖父が「倉岡バス」という乗合バスの事業を始めたんです。その後、昭和3年に「熊本タクシー」を開業して、戦後に株式会社になりました。乗合バスのあとは貸切バスで再興しまして、タクシーと観光バスという今の形になっています。

3代目社長の倉岡征宏さん

ータクシー業以外にも事業を展開されているそうですが、他にはどんなことをされているんですか?

旅行業やドライバー派遣業、損害保険代理業の他に、訪問介護、保育園、飲食施設なども手がけています。

ーいろんなことをされているんですね!

全部がうまく行くわけではないですが、業種にとらわれず、昔から多角的にいろんなことを取り入れてきましたね。時代はどんどん進化しているので、我々も変わっていかないと遅れていってしまいますから

お父様の倉岡会長(左)と倉岡社長(右)

ータクシーとあまり関わりがないように見えるのが訪問介護と保育園ですが、この二つはなぜ始められたのですか?

まず訪問介護ですが、こちらでは主に「介護タクシー」の提供を行なっています。介護タクシーというのは、要介護の方や、体の不自由な人が利用するタクシーのことで、車椅子の方でも乗れるようになっているんです。

タクシー業が低迷していて、何か新しいことに挑戦しなくてはいけないなと思っていたところに、介護タクシーが世の中に現れました。当時はまだ介護保険が作られる前だったのですが、今までやってきたタクシー業とも融和性が高いし、リソースも使えるということで、「これだ!」と思って取り入れることにしたんです。介護保険が作られてからは、保険適用の介護タクシーを走らせています。

倉岡社長(右)と保育園施設長の塚本さん(左)

ー訪問介護でも「タクシー」という得意分野を担っていらっしゃるんですね。保育園はなぜ始められたんでしょう。

もともとは乗務員不足で、女性のドライバーを増やせないかと考えて開いたんです。女性が子供を安心して預けられる環境が作れたら、うちでドライバーとして働いてくれるんじゃないかと。実際は、女性ドライバーは集まらなかったですけどね(笑)。

ーだけど、高齢化だったり、女性の社会進出だったり、社会の変化に合わせることで事業が変化していっているんですね。

そうですね。今回のコロナ禍によっても、会社としてものすごく影響を受けました。移動や観光をする人が少なくなって、売り上げが3割くらいまで落ちてしまったんです。それでも、コロナ禍でも絶対に必要とされる介護タクシーという軸があったから、その需要はずっと残っていました。まごころサポートを取り入れたのには、そういう背景もあります。

介護保険に依存しない領域でもシニアの方のサポートを

サポートの様子(熊本KT店コンシェルジュ・櫻田麻梨さん)

ーまごころサポートに加盟しようと考えたのはなぜだったのでしょうか。

我々がもともと提供している介護タクシーは、介護保険に依存しているんです。利用できる方も、タクシーの用途も、すべて保険の制度で定められているんですね。それに則っている以上、制度が変わるとビジネスが成り立たなくなったり、利用者が減ったりするリスクがある。それは私たちにはどうしようもできないことなんです。

まごころサポートを始めたのは、介護保険非適用のサービスであることが大きかったですね。介護タクシーを走らせつつ、介護保険に依存しない領域でもシニアの方が欲するサービスができるようになれば、私たちの介護事業も存続できるのではないか。そう思って、まごころサポートを始めました。

ーなるほど。ちなみに、タクシー業との融合などは考えていらっしゃったのでしょうか。例えばドライバーにコンシェルジュ業務を任せるなど……。

いえ、実はまごころサポートを始めるときに気をつけていたのは、タクシー業とはまったく切り離して運営しようということだったんです。

ーえっ、そうだったんですか。

というのも、今はタクシー業における需要と供給のバランスが崩れているんです。コロナ禍で需要が減っているというのはさっき言いましたが、それ以上に供給も少なくなっています。

なぜかと言うと、コロナを機に、健康に不安がある方や高齢の方などがドライバー業務から外れていってしまったんです。当社でも2割くらいドライバーが減ってしまっていて、雇用維持のために何かと画策したのですが、なかなか難しくて。

ーコロナで供給側にも影響も出ていたんですね。

だから、ドライバーにまごころサポートの活動をしてもらおうという考えはなくて、まずは新たな事業として新しく人を集めようと考えて始めました。結果、今は10数名のコンシェルジュが集まってくれています。

ーただ、事業は別だとしても、良い相互作用はありそうです。

そうですね。まごころサポートを利用した方がタクシーを利用してくださったり、その逆もあるのではと思います。そういう連携からまずは始めていきたいですね。

 

【続きは、後編で!】

 

【全国のまごころストーリーVol.3】熊本のタクシー会社がチャレンジするまごころサポート。 「私たちは、人生という旅路に寄り添う『足』になる」(後編)

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