【全国のまごころストーリーVol.2】
年齢にとらわれず、できることを。
82歳のコンシェルジュが考える
「人」同士のあり方。(後編)

2022/07/26

まごころストーリー

全国のまごころストーリーVol.2「まごころサポート 田辺くるむ店」

世界遺産の熊野古道でも有名な、自然豊かな和歌山県田辺市。

 

この地に拠点を置く「田辺くるむ店」では、まごころサポート最高齢、今年82歳を迎えるコンシェルジュ・花村紘一さんが、息子さん夫婦・お孫さんと親子三世代で活躍しています。

 

紘一さん、そして花村さんご一家は、どんな思いでまごころサポートに携わっているのでしょうか?

 

前編・後編に分けてご紹介します。ぜひご覧ください。

支え、支えられている「人」という存在

ーまごころサポートを続けるうちに、気持ちの変化はありましたか?

紘一 正直なところ、始めたばかりの頃は『こんなしんどいこと、よう続けられるかな』って思っていたんですよ(笑)。私も歳がいっているしね。せやけど、お世話している方が一所懸命生きようとしていると感じると、やっぱり放っておけないなって思ったんです。行ったら行ったで喜んでくれるし。その人のためになることが自分自身の励みになっていって、4年経った今もこうして続けられています。

ーそうですか。やっぱり「しんどいな」と思うこともあるんですね。

紘一 私自身も、歳をとるたびにできないことが増えていっているんですよ。ずっと釣りが趣味だったんだけど、最近では荷物が重たくて思うように動けなくなって、行かなくなってしまいました。だからって、家の中だけにいても体力が落ちるだけです。歳をとっても、外でできることはやらないと。今はまごころサポートの他にも、毎朝グランドゴルフに行って、週一で友人と囲碁をしています。毎日結構忙しいんですよ(笑)。

ーすごくアクティブなんですね!

紘一 そうですね。中でもまごころサポートは、今の私の生きがいだと思います。やっぱり、仕事をやり遂げて喜んでもらえたときが、一番やりがいを感じますし。

ーある意味で、サポートをする方にも支えられている、ということでしょうか。

紘一 まさにそうだと思います。昔からよく言いますけど、「人」っていう字にはつっかえ棒があるでしょう。私は、人が生きていくためには、誰かがその人のつっかえ棒になってあげなくちゃいけないと思うんです。高齢でひとり住まいの人の多くは、寂しい思いをしていると思います。でも誰かが話し相手や相談相手になるなりしてつっかえ棒になることができれば、元気が出るだろうと思うんですね。

ーなるほど。皆さんを支える「つっかえ棒」に。

紘一 だけど、元気が出るのは私もなんです。「人」というのはお互い様で、つっかえ棒になることでこちらも張り合いが出るもの。私自身もだんだんへばってきて、仕事のできる範囲が狭まってくると思うけれど、できる限りまごころサポートを続けていきたい。健康に気をつけて、長く誰かを支えていけるように、頑張っていこうと思っています。

まごころサポートに取り組む三世代、それぞれの思い

ーお二人のやりがいを感じる瞬間についても教えていただけますか?

あゆみ 最初は「まごころサポート 田辺くるむ店」としてサポートをさせていただいていたんですけど、皆さんだんだん「あゆみさん」って名前で呼んでくださるようになって、それがすごく嬉しいんです。ご依頼のメールでも「あゆみさんへ」と名指しでご連絡をいただけたりとか。そういうのを見ると、ひとりの人として信頼されているなと感じて、もっと頑張ろうと思いますね。

朋哉 僕はじいちゃんと同じで、仕事が終わったときの達成感ですね。喜んでいただけると、僕も嬉しいです。あと、普段の仕事ではしない作業もたくさんするし、人との関わりも多いので、自分の本業にもここでの経験が活きているなと感じます

ーご家族で同じ活動に取り組まれていると、いろんな話もできそうですね。

あゆみ そうですね。普段から話はする方だと思うけれど、三世代で共通の話題ができて、より会話をする機会が増えたように思います。

紘一 さっきも言いましたが、そもそも一人では始めなかったと思いますしね。自分ができないことは若い人に任せて、若い人のできないことは自分がやって。そうやって役に立てているのは嬉しいですね。

ー私自身、お話を伺いながら、年齢で「サポートをする立場・される立場」が決まるのではななく、できる人ができることをするという、シンプルなあり方が素敵だなと思いました。それでは最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください。

紘一 健康に気をつけて、まごころサポートをどうにか長いことできるように頑張るのみですね。

あゆみ 私は、地域でもっと仲間を増やしていきたいです。いろんな方と触れ合ったり、交流しながら、まごころサポートの輪を広げていきたいですね。

朋哉 僕は、認知度アップを目指したいです。これからも活動を続けて、より多くの人と信頼関係を築いていけたらと思っています。

ーみなさん、ありがとうございました。

 

【前編記事はこちら】

 

【全国のまごころストーリーVol.2】年齢にとらわれず、できることを。 82歳のコンシェルジュが考える「人」同士のあり方。(後編)

番外編! 〈田辺くるむ店〉コンシェルジュのご紹介

〈田辺くるむ店〉のコンシェルジュ3名の方にお話しをうかがいました。

廣野 雅泰さん

昨年行われた、海岸のゴミを回収して綺麗にする「天神崎定期清掃活動」で、オーナーの花村篤司さんと出会ってお話したのが、まごころサポートを知ったきっかけです。田辺も高齢化が進んでいるし、まごころサポートのサービスで田辺を活性化できたら素敵だなと思い、自分も参加することにしました。

私は植木屋をしているのですが、その技術と経験を活かして、まごころサポートの中でお庭掃除やちょっとした剪定のサービスができたらいいなと思っています。それからおしゃべりすることも大好きなので、シニアの方とたくさんお話しながらニーズを引き出し、より良いサービスに繋げられたらと思います。

大峯 祐記さん

高校時代の同級生で、同じくここでコンシェルジュをしている友人に、「誰とでも仲良くなれる祐記ちゃんにぴったりな仕事やと思う」と勧められたんです。最初は「何のことやろ?」と思っていたんですけど、内容を聞いて「確かに自分にぴったりやわ!」と思い、まごころサポートを始めました。

今私は自営業でイベントのお店をしているのですが、もともとは介護職をしていたんです。そこで、地域密着型のシニアのサポートができないかとずっと考えていました。だから、まごころサポートの考え方にとても共感できたんですね。

まごころサポートでは、やったことのないお仕事にも挑戦するシーンがたくさんあって、本当に日々勉強させてもらっています。また、シニアの皆様は人生の先輩なので、お話するだけでいつも学びや勇気をいただいています。お手伝いしている側としてもいろんなものを受け取れる、win-winの関係だと思いますね。

女性コンシェルジュさん

体調を崩して前の仕事を辞めて以来、ギグワーク的な働き方に興味を持っていろいろ探していたところ、まごころサポートを見つけました。以前別の場所で「今の時代は、仕事を定年退職してから介護が必要になるまでの間のサポートが少ない」という話を聞いて印象に残っていたのですが、そのお話とまごころサポートでの内容がつながると感じたんです。心身ともに長く健康に過ごせるお手伝いができるのって素敵だなと思い、自分もコンシェルジュとして活動することにしました。

まごころサポートでは、おうちの掃除から猫の餌やり、スマートフォンのレクチャーまで、本当にいろんなことをさせていただいています。活動していて思ったのは、得意なことや専門的なスキルがなくても、若い人であれば誰でもできるようなことで、シニアの方に喜んでもらえるのだということ。自分にできることが誰かのサポートになる。そう実感できるのがとても嬉しいです。

「まごころサポート 田辺くるむ店」会社概要

店舗名:まごころサポート 田辺くるむ店

店舗住所:和歌山県田辺市中三栖111-14

社名/屋号:合同会社 志成

代表:花村 篤司

本社所在地:和歌山県西牟婁郡上富田町南紀の台9-38

 

<Photo:関 愉宇太、Text:土門 蘭>

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