【全国のまごころストーリーVol.2】
年齢にとらわれず、できることを。
82歳のコンシェルジュが考える
「人」同士のあり方。(前編)

2022/07/26

まごころストーリー

全国のまごころストーリーVol.2 「まごころサポート 田辺くるむ店」

世界遺産の熊野古道でも有名な、自然豊かな和歌山県田辺市。

 

この地に拠点を置く「田辺くるむ店」では、まごころサポート最高齢、今年82歳を迎えるコンシェルジュ・花村紘一さんが、息子さん夫婦・お孫さんと親子三世代で活躍しています。

 

紘一さん、そして花村さんご一家は、どんな思いでまごころサポートに携わっているのでしょうか?

 

前編・後編に分けてご紹介します。ぜひご覧ください。

『歳や、歳や』と言うておれん

ー紘一さんは、現在81歳だそうですね。とてもお若く見えて驚きました。

紘一 昭和15年に生まれて、今年で82歳になります。これまで大きな病気もしないで健康でいられたのはありがたい限りですね。まごころサポートでお手伝いをしているのも、気持ちの張り合いになっていると思います。

ーまごころサポートのコンシェルジュとして活動を始められたのは2年前だそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

紘一 定年退職をしたあと、ここに引っ越してきて町内会の役員を務めていたんです。そこで、会員同士で利用できる「助け合いの会」というのを運営していたんですよ。草刈りとか、庭の掃除とか、会員同士で助け合える仕組みだったんですが、会員がみな高齢になってきて、やる人がいなくなり回らなくなってしまったんです。

そんなとき、福祉業界で働く息子夫婦が、地域活性化のためにまごころサポートを始めたんです。最初は何をしてるんやろうと思っていましたが、活動内容を聞くと、町内会で自分がやっていた『助け合いの会』とやっていることが似ていたんですね。どちらも『困った人のお世話をする』という点ではおんなじですから、息子たちが志を持って活動するなら、私も元気なうちは手伝おうかと思って、自分も一緒に始めることにしました。

ーでも当時で80歳ですから、すでにサポートを受ける側の方達とも同世代だったということですよね。とても大きなチャレンジのように思うのですが。

紘一 実は、やってみようと思った理由はもう一つあって、ちょうどその頃、熊本でボランティアをしている方の紹介がテレビでされていたんです。震災の片付けをしたり、行方不明者を探したりしていて、偉いなぁと思って観ていたんですが、その人が私と同い歳だったんですね。この歳でもこんなに頑張ってる人がいるんなら、私も『歳や、歳や』と言うておれんなぁ、と刺激をもらったのも大きかったです

ーなるほど、そんな出会いもあったんですね。この記事を読んだ方の中にも、紘一さんにそんな刺激をもらう方がいらっしゃるかもしれません。

家族で一緒だからこそ始められた

ーちなみに、今日は息子さんの篤司さんはご不在だそうですが、篤司さんはどうしてまごころサポートを始めようと思われたんでしょうか?

あゆみ 夫も私もずっと福祉業界で働いていたんですが、夫は特に「この地域をなんとかせねば」という課題意識があったようです。高齢化が進む中、地域の問題は地域間で解決しないといけないのに、今は隣近所とも関係性が成り立っていない。そんな状況で何ができるか探していたところ、まごころサポートを発見したんですよ。それで、「自分たちもやるぞ!」と言われたのが始まりでした。

ーそう言われた時、あゆみさんはどういう反応だったんでしょう?

あゆみ 最初は「本当に自分たちにこんなことできるのかな?」と思っていたんですが、コンシェルジュになるための試験を受けるうちに、だんだん家族間で競い合うようになってやる気が出てきたんです(笑)。

ーいいライバルになったんですね(笑)。朋哉さんも同じく福祉業界で働いていらっしゃるそうですが、お父様にそう言われたときにはどう感じられましたか?

朋哉 僕はもともとおじいちゃんおばあちゃんが好きだったので、それが一番大きいですね。何か自分もできることがないかなって思って、参加することにしました。

あゆみ 今は家族三世代でまごころサポートに取り組んでいて、自分たちも地域の輪の中に入っていけている実感があります。

紘一 息子に言われなかったら、私も一人ではやろうと思わなかったと思いますね。

ーご家族で一緒に、というのも、背中を押されるきっかけになったんですね。

チームのように役割分担

ー紘一さんは、普段はどんな風にまごころサポートで活動をされているんですか?

紘一 今私が主に訪問しているお宅は、1件だけなんです。私よりも年下の方なんですけど、月に2回ほど家の掃除や買い物なんかをしに行っています。この間は、猫の小屋作りもしたんですよ。

ーへえー! 大工仕事もされるんですね。

紘一 簡単なものですけどね。親父が大工をしていたから、見様見真似で壁を塗ったり、トタンを貼ったりとできるようになったんです。だから「ここちょっと直せる?」って言われたら簡単な修理はできますね。

あゆみ 大工仕事や畑仕事なんかはじいちゃんの得意分野なんで、そういうお仕事が来たらじいちゃんにお願いしているんです。家族内で役割分担ができているんですよ

紘一 その代わり、力仕事は朋哉に任せたりね。

ーそれはすごくいいチームですね。

紘一 まあ、私自身はサポートを受ける側の世代なので、ほんまはテキパキ働ける若い人が行った方がいいんでしょうけど(笑)。でも私も年寄りやから、サポート先の人と話や考え方が合うんですよね。普段私がうかがっているお宅の方も、もともと顔見知りっていうのもあって、いつも仕事が終わったら、お茶をしながら昔話や町内の話をするんです。

ーそうなんですね。

紘一 お一人暮らしなんでね、誰とも話す機会がないっておっしゃるんですよ。だから、20分で仕事が終わっても、それ以上の時間おしゃべりしたりね(笑)。「昔はこうやったよな」とか、そういう話をするのも、お互い一つの楽しみになっているんやろうなと思いますね。

【続きは、後編で!】

 

【全国のまごころストーリーVol.2】年齢にとらわれず、できることを。 82歳のコンシェルジュが考える「人」同士のあり方。(後編)

▲TOPへ戻る