◆ はじめに
この度、弊社と株式会社エンジョイワークス(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役 福田 和則)が連携し、国土交通省人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業に採択されている「まごころアパート」を「居住サポート住宅」制度に対応させ、さらにその拡大展開として「まごころヴィレッジ」「まごころリノベアパート」等を創るプロジェクトを開始しました。
この連携に、地域の料理上手なシニア世代が、地域に美味しい食体験を提供する事業「ジーバーFOOD」を展開する株式会社ジーバー(本社:宮城県仙台市、代表取締役:永野 健太、以下、ジーバー)も加わり、三社連携の始まりの会として「まごころアパート」連携プロジェクト・キックオフイベントを7月11日(木)に開催いたしました。イベントダイジェスト(1)をお届けいたします!
イベント動画は近日公開予定
◆ ソーシャルフランチャイズ事業としての4年間の歩み
(青木)
本日はキックオフイベントにご来場いただき、またオンラインでもたくさんの方にご視聴いただきありがとうございます。
第一部では、まごころアパートがどのような事業なのか、弊社社外取締役の平川よりご説明いたします。
(以下、平川)
みなさん、こんにちは。実は、私の妻の実家がまごころアパート第一号の施主なんです(笑)
オーナーとして地域にどんなものを提供するのか、何のためにこの事業をやるのか、妻の実家の相続をどうするのか、どんな風に賃貸アパート事業をやっていけるか、事業を通じて地域貢献や社会貢献できるのか。そんなことを今日はお話したいと思います。
医療保険、介護保険、シニアをみまもる民生委員の担い手不足。もうそろそろ、公的サービスが限界ですよね。私たちはビジネスで社会課題の解決に取り組んでいく必要があります。
M21は保険外の民間自費サービスとして、地域に「シニアの住まいと生活支援のあり方」を提示してきました。元気な状態から、要支援、要介護へ変化していくシニアのみなさまにワクワクを提供し、健康の維持や改善の面でお支えし、介護予防の在り方を模索してきました。インパクトスタートアップ協会の正会員にも加えていただきました。
新聞社・販売コンサル事業から、ソーシャルフランチャイズ事業に変更してからのこの4年間で、44都道府県に220加盟店が広がり、2600名の登録コンシェルジュが全国で活躍しています。
また、地域に貢献しようと協力を申し出てくださった地方新聞社9社をメディアパートナーにお迎えしていて、2024年は20社以上に拡大を予定しています。加盟店各社の活動が地域に浸透するようしっかり広報していく仕組み作りの一環です。
◆まごころサポート1.0は、日本有数のシニアサポート・ネットワーク
M21はモノやサービスをただ売るということでなく、シニアに寄り添っていきたいと考え、このようなVISIONとMISSIONを掲げています。
VISION シニアの毎日に豊かさを
MISSION 全てのシニアに良き隣人を
我々はシニアの課題をワンストップでソリューションするよう目指していますから、法律に抵触しない限りにおいて、徹底的に寄り添うサポートを届けていきます。
今までのまごころサポート1.0では、地域で100年続くなど信頼を得ている中核企業さんを加盟店にお迎えし、地域の役に立ちたいという人たちを集め、コンシェルジュとしてネットワークしてきました。
学生、フリーター、主婦、個人事業主、サラリーマン、アクティブシニアなど、どの地域にもいらっしゃるごく普通の人々がコンシェルジュとなり、地域の包括さん、ケアマネさん、民生委員さんと連携して、シニアの生活支援を行ってきました。
◆ まごころサポート2.0は、地域の「シニア・ライフ&ケアネットワーク」へ進化
まごころアパートは端的に申し上げると、Wi-Fiセンシングによる「みまもり&サポート」付きコミュニティ賃貸アパートのことです。
ジーバーFOODはシニアが作る手間ひまかけたお料理をオフィスや家庭にお届けする事業です。言ってみれば、シニアがワクワクする「おしごと」を提供する生きがい創造事業。
まごころサポート2.0の基幹となるのが「まごころアパート」と「ジーバーFOOD」。このふたつを組み合わせることにより、「安心」と「ワクワク」を感じる住まい環境整備が叶う。つまり、シニア向けにスマートライフシステムが提供できるようになるんです。
◆ まごころサポート2.0の「ビジネス&サービス展開シナリオ」
シニアの安心・ワクワク「住環境整備事業」ってひとことで言うとなかなか大ごとに聞こえるかもしれないんですが。各地域の「住宅地」にコンシェルジュがいる「小さな拠点」として「まごころアパート」を設置します。
生活支援って、点在している個々のお宅を訪問するのでどうしても見える化しづらい面もあります。そこで「まごころアパート」を住宅地の中の開かれた「小さな拠点」として周りから見えるように置けば、入居者だけでなくその周辺にお住いの方々も安心してサービス利用できるようになり、人の交流が生まれるでしょう。
また、住宅地内の拠点を中心としてその周囲に支援先が一定規模の固まりとなって存在することになりますから、コンシェルジュが離れたエリアを行ったり来たりするようなことにもならず、サポートしやすくなるでしょう。例えば関東であればひとつの拠点で50戸~60戸のシニアをサポートするイメージです。
さらに、まごころアパートの立地エリア一体に、防災無線端末のマゴコロボタンとWi-Fiセンシングを面的に導入していきます。これは「まごころ・みまもり&サポート」という月額サービスとして提供します。今までは20分当たり1,000円という設定のみでしたが、月額制の導入によりシニアにとってもご家族にとってもより支出の管理がしやすくなるでしょう。
そして先ほど申し上げた「ジーバーFOOD」の展開も加速していきます。これについては株式会社ジーバーの永野社長から後ほど詳しく語っていただきましょう。社会貢献意欲のある幅広い世代を受け入れるおしごとコミュニティを運営していく事業です。キッチンでお料理を作るほかに、コンシェルジュとしてのおしごとも提供していきます。
◆ 「まごころアパート」サービス・パッケージの構成
「まごころアパート」をどう作るかについては、もともとあるアパートを「リノベーション」する場合もあれば、今までお住いのご自宅を取り壊して「新築」でアパートを作る場合もあるかもしれません。
建物を建てたり、その不動産管理をしたりと言った本業を通じて、社会貢献型事業や地域の高齢化課題に取り組む「建築・賃貸不動産事業者のみなさま」に、このビジネスモデルを提供していきます。
また、「介護系や医療系の事業者のみなさま」が建物をサブリースで借りていただく手法もあり得ます。多忙を極めているみなさまが、より効率的かつ効果的に本来の介護・医療活動を行えるように、みまもりと生活支援サービスがセットになった住環境整備のビジネスモデルを提供していきます。ある介護事業者の理事の方が「福祉とは住まいである」とおっしゃいました。住まいの重要性を痛感します。
一方で、なんでも「まごころアパート」とは言えませんので、下記の要素をサービス・パッケージとして提供していきます。
●まごころアパートの建築計画/設計プランを提供
国交省モデル事業採択事業。シニア支援拠点付きのコミュニティアパート。
間取り、バリアフリー、リノベーション。
●まごころ・みまもり&サポートのサービス設計/運用プログラムの提供
まごころボタンと世界最先端・国際標準技術のWi-Fiセンシングデバイスの提供。
アプリの提供。デバイス設置・設定も。
●ジーバーFOODプログラムの提供
様々な世代を繋げ、社会に貢献しながら、ワクワク働ける場の運営手法。
おしごと説明会パッケージ。
●国交省「居住サポート住宅」制度対応/認定支援プログラムの提供
地方自治体との調整、居住支援法人、家賃保証事業者、医療介護事業者との連携支援。
◆ 「まごころアパート」の小さな拠点は様々な形で展開可能
公共住宅でシニアが安心して暮らし続けられるようにするには、どんなふうにシニアをサポートすべきかという社会課題があります。この課題に対しては、例えば賃貸不動産管理事業者のみなさまが、自治体の指定管理事業としてまごころアパートを提供する形があるでしょう。
大手企業さんから職員住宅など遊休資産のサブリースを受けて、地域貢献型施設、社会貢献事業の一環として提供する形もあるかもしれませんね。
あるいは、サ高住への入居が難しくて、自宅居住を余儀なくされているシニアがいらっしゃる。例えばお子さんが小さかった頃の家族4~5人向けの間取りのお住まいに、シニアがおひとりで住み続けるのもなかなかしんどい。
でも、引っ越せるような良い賃貸物件は近所に無い。そんな現実のお困りに対して地域の建築・不動産事業者と医療系・介護系事業者のみなさまが連携して、まごころアパートを提供していく可能性もあるでしょう。
◆ 「まごころアパートは「自宅居住」と「サ高住」の間の位置付け
自宅居住の場合、段々と住環境の劣化が進みますよね。地域のみまもりがシニアに十分に届かない心配や土地建物が有効活用されずに空き家化してしまう懸念もあります。
近年、サ高住も高額化し多くの人にとって入居がためらわれるものになっているようです。住み慣れた地域を離れるご不安やご負担もあるでしょう。ある調査では、必要以上に在宅サービスの提供がなされているのではないかとの指摘もされていて、自立高齢者にとっては支援が多すぎて、やりがい含めた生活力が落ちてしまう場合もあるようです。
自宅居住とサ高住。この2つの間を埋める居住形態があるのではないか、シニアが安心して住み続けられる住環境とはなんだろうかと考えました。
◆ 人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業に採択
例えば、近所におしゃれなシニア向けの賃貸アパートがあったら引っ越したいな。みまもりサービスを利用しながら自立的生活が続けられたらいいな。広すぎる自宅を売却して手元資金を増やして、安心して賃貸アパートで暮らせたらいいな。
そんなことをコンセプトにして「まごころアパート」を企画し、国土交通省「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」に応募し、令和4年に採択されました。現在、事業を進めていてこの秋に建物がようやく建つところです。
地域のみなさんが集えるオープンなコミュニティ空間を設置しますし、コンシェルジュ用の居住スペース、支援拠点スペースも用意します。
そして、人が仲良くなるのはやはり「食」ですよね。3度の食事、お茶の時間に集えるようなコミュニティキッチンを設置します。その日のお惣菜をみんなで作ったり、地域の方にお食事をお届けしたり。そうやって自然にお互いにみまもりあう関係性ができていくようにしたい。
ご本人の安心と離れて暮らすご家族の安心のために、24時間365日の常時みまもりを提供します。Wi-Fiセンシング等のIoT機器を活用し、シニアの活動状況や睡眠状況を把握していきます。
また、アクティブ期、要介護・要看護期、看取り期のように、変化していくシニアの暮らし方に、同じ間取りで対応できるよう、多様な利用パターンを想定したうえで居住スペースの設計をしています。
シニアが安心して住み慣れたエリアに住み続けるための、ひとつの在り方として、こんなモデル事業を進めていきます。
国土交通省人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業 イメージ図より。
◆ 日本初、ボタンひとつのみまもり&防災サービス。自助、共助、公助。
「災害からシニアを守りたい」と思いを込めて開発したのがマゴコロボタンです。スマートフォンやインターネットは必要ありません。コンセントに挿すだけです。
自治体の防災情報一斉配信システムとの連携が可能です。いざという時は音と光で避難を呼びかけてくれます。生音声に加え管理システムに入力したテキスト文書をボタンが読み上げることもできます。
ご家族やご友人、ケアマネジャーさんやヘルパーさんのLINEと連携することで、お互いの音声をメッセージとして送受信するなど、日々のコミュニケーション、安否確認に活用できます。
ご家族がいらっしゃらない利用者も暮らしの中でのお困りごとを簡単に意思表示できる機能があります。例えば、ボタンをカチッと1回押すとその日の服薬確認やゴミ出しのメッセージを流すことができますし、2回押していただくとコンシェルジュから「おばあちゃん、こんにちは。何か御用はありますか?」と電話がかかってきます。日常に溶け込んで使い慣れるからこそ、いざという時に「実際に押せる」ボタンとなるのです。
※マゴコロボタンは、100歳でも使えるシニア向けIoTデバイス。佐賀県みやき町、福島県広野町、富山県高岡市に導入。今後も様々な自治体への導入が予定されています。
◆ 24時間365日のみまもりが、シニアと家族に与える安心感
まごころアパートに導入するWi-Fiセンシングは、株式会社おきでんCplusC様の協力をいただいています。デバイスはシンガポールに本社を置く nami.ai Pte. Ltd が企画・製造しています。
センサーにカメラやマイクは付いていませんからプライバシーに配慮されていて、お部屋の中でもくつろいだ気持ちでお過ごしいただけます。
活動センサーは、日中必ず立ち寄るキッチンやお手洗い、リビングなどに設置します。コンセント型をしているので、「挿し口がひとつ減っちゃうわ」と言うこともありません。睡眠センサーは寝室、ベッドのそばに設置して、就寝から起床までよく眠れているかという状況をセンシングします。
例えば、沖縄を離れて東京にいらっしゃる娘さんが、スマホアプリからお母さんの「いつも元気」を確認できる。活動センサーのデータを見て「朝から元気に動き回って、日中はお出かけしているのね」ということが分かるでしょう。
睡眠センサーのデータを見て「あれ?最近おかしいな。眠れていなそうだな」というタイミングで気遣いのお電話ができる。お母さんも「調子悪いなあ」という時にちゃんと娘さんから電話が来てうれしい。そんなお互いの安心に貢献するものなんです。
※株式会社おきでんCplusCが提供する、カメラやマイクを使わない世界最先端WiFiセンシング技術を搭載した、コンセント型の活動センサーと丸型の睡眠センサー。平時よりシニア宅の状況をプライバシーに配慮しながら確認することが可能。災害時においては在・不在情報が避難支援に活用できる。一定時間活動・睡眠が検知されない場合における孤独死放置可能性をいち早く家族・地域関係者・自治体等へエスカレーションできるようになり、これまで随時対応が大きな負担となっていた自治体・公的機関のほか、不動産系事業者、介護系事業者等の負担軽減に寄与します。
◆ みまもり、介護、看護を「効率的かつ効果的に」
そうやって、24時間365日取得したデータを1週間単位で見ていきますと、家庭内の活動や外出の有無、頻度が見える化します。睡眠の時間、深さを把握することができます。
Wi-Fiセンシングが無いこれまでは、「あのおばあちゃん、元気かな?」「そろそろお訪問した方がいいかな?」とルーティン的だったり、感覚的にサポートをしていました。
Wi-Fiセンシングのデータを活用すると、ごく普通のコンシェルジュが「あれ?昨日も今日も眠れてないな」「寝つきも良くないし夜中に目が覚めている」「散歩にも行けていないみたいだし、今日は訪問して顔色を見に行こう」といったように、適切なタイミングでサポートが行えるようになります。
冷蔵庫のドアの開閉センサーで、生存確認はできるかもしれませんが、よく眠れているかどうかの睡眠状況までは分かりません。より効果的に、より効率的にということですね。
認知症が進むと実際の時間と体内時計に時間のズレが生じるため、日中と夜間の区別が付きにくくなりますよね。睡眠の状況を把握するということは、データに基づいて、そうした徴候をキャッチできるということなんです。
どうやってシニアを地域の医療、福祉関係者のみなさまと共に支えていくか。まごころアパートではここに踏み込んでいくため、みまもりにWi-Fiセンシングの技術を採用させていただきました。まごころみまもり&サポートを通じて得られるあらゆる情報データを収集・分析するCRMシステムにはセールスフォースを採用しています。
裏側のシステムは徹底的にハイテク。表側のサポートは温かなハイタッチ。この両立を目指しています。
◆ 居住サポート住宅制度への対応
今後、国土交通省が居住サポート住宅制度を創設すれば、ICT等による安否確認、居住支援法人等の訪問によるみまもり、福祉サービスへおつなぎしたりといったことが要件化され、仕組みとして動き出します。
まごころアパートのビジネスモデルは、まさにこの「居住サポート住宅」制度に対応するものです。地域の民生委員さん、ケアマネさんに情報共有をさせていただき関係性強化をし、医療系事業者、介護系事業者のみなさまに、活動情報や睡眠情報をぜひお役立ていただきたいと考えています。
説明はここまでとなります。
(青木)
平川役員のお話でした。まごころアパートっていうのは、建物を作って、売って、ただ入居者を集めるのではなく、地域全体でシニアをみまもっていこうという取組です。少子高齢化って街が暗くなっていっちゃうんですよね。どうやったらおじいちゃんおばあちゃんたちと街を明るくしていけるか。そんなことをお伝え出来たかと思います。
まごころアパートの重要なキーワードがふたつ出ました。Wi-Fiセンシングと、ジーバーFOOD。センサーをただお部屋に置くだけなら「みまもり付きのお部屋」ということなんですが、それだけではなく「生活支援」や「おしごと」までもついてくる。それが、私たちのまごころアパートです。
ではここからは、株式会社おきでんCplusCの上原さんにバトンをお渡しして、Wi-Fiセンシングの可能性を大いに語っていただこうと思います。
イベント動画は近日公開予定