【全国のまごころストーリーVol.8】
新聞販売店だからこそできる「街づくり」
8つの新聞販売店が目指すもの。【前編】

2022/12/29

まごころストーリー

【全国のまごころストーリーVol.8】新聞販売店だからこそできる「街づくり」とは? 『デーリー東北』8つの新聞販売店が目指すもの。【前編】

青森県南、岩手県北にまたがる北奥羽地方で配られている地方紙、『デーリー東北』。

 

深刻な高齢化が進むこの地域で、デーリー東北新聞社と新聞販売店がまごころサポートをスタートさせました。

 

紙面を通じてあらゆる社会問題を報じてきた新聞社と、それを届ける販売店が、リアルにシニアの方を支える事業を始めたのは、大きな転換と言えるでしょう。

 

今回は、まごころサポートを行っている8つの新聞販売店でまごころサポートを担当する店長さんにそれぞれお話をうかがいました。新聞販売店だからこそできるまごころサポートの形、そして街づくりとは、どういったものなのでしょうか。

シニアと地域の事業者をつなぐコネクターに

まごころサポート 八戸柏崎店 奥田 倫明さん

まごころサポートを始めたきっかけは、「購買数が減っていく中、今のままでは新聞屋としての将来の展望を描くのが難しい」と感じたことです。これまでやってきたことの延長線上でできる仕事は何かないかと思っていたところ、MIKAWAYA21の青木社長の講演を聞いて「これだ」と思ったのがまごころサポートでした。

始めてからは本当にいろんなご依頼がありました。特に印象に残っているのは、この街でまごころサポートを始めてからの2年間、コンシェルジュのひとりが週2でうかがっていたシニアの方です。

コンシェルジュのことをとても信頼してくださって、時には冗談っぽく「私が死んだら家のものはあなたにあげるよ」とまでおっしゃっていたそうなのですが、亡くなった時、本当にコンシェルジュ宛に遺言を遺してくださっていました。娘さんからも「母の意向だから受け取ってほしい」と温かいお言葉をいただいて。そこまでの関係性を築けるのは、まごころサポートが生涯の暮らしに密着したサービスだからなのだと思います。

もともと新聞配達をしながら感じていたのは、「街の関係が分断されているな」ということでした。行政は行政、業者は業者とバラバラに存在しているので、シニアの方はお困りごとがあっても誰に何を頼んだらいいのかわからない。そんな中、私たち新聞販売店は、配達や集金を通じてシニアの方との繋がりを持っているので、それを活かしてシニアの方と行政・医療・業者を繋げる架け橋になれたらと考えました。

現在うちの店舗は、地域の高齢者支援センターと連携しています。シニアの方の立場から、公的医療、介護、専門業者とコミュケーションを取ることで、シニアの方に存分にサービスの恩恵を受けていただき、また行政や企業の皆さんにも、存分に力を発揮していただく。そのコネクターとしての役割が、私たちだと考えています。これからも地域の事業者と連携して、より豊かなサービスが提供ができるように頑張りたいですね。

[ 店舗情報 ]

店舗名:まごころサポート デーリー東北八戸柏崎店

店舗住所:青森県八戸市柏崎3-13-37

社名/屋号:㈲中央ローカル ステーション

代表:奥田 倫明

本社所在地:〒031-0081 青森県八戸市柏崎3-13-37

街に酸素を送る「血液」のような存在になりたい

まごころサポート 南部店 菊川 光太郎さん

私はもともと、関東で建築関係の仕事をしていたんです。父が体調を崩したのをきっかけに八戸に戻ってきたのですが、こちらの新聞店は中学生の頃にアルバイトをしていた縁があって、当時の同級生が今の社長なんですよ。新聞以外にもウェブや広告などおもしろいことをしている店なので、自分の力も何か役に立つのではと思い入社。そのうちの仕事の一つがまごころサポートでした。

配達をしていると、やっぱりこの辺りは独居老人の方が目につきます。シニアの方は移動ができないなどの理由で、なかなか地域のコミュニティに入れていないという印象もあって。新聞屋としてどうにかできないかというジレンマがあったので、まごころサポートはその解決につながると思いました。

始めてからはさまざまなご依頼がありますが、中には「土地をどうしよう」とか「家をどうしよう」とか、「それは先にご家族に相談された方がいいのでは」というご相談もあって。逆にご家族から大事なご相談を受けることもあります。そういう意味では、ご家族を含む皆さんに信頼いただけるようになってきたかなと思います。

新聞販売店だからこそできることとしては、毎日新聞を届けるので安全確認ができることですね。「見守り」のさらにもう一歩踏み込んで、会話やコミュニケーションを含めた安全確認ができたらいいなと思います。それが街の活性化にもつながると思うんですね。

また、八戸地域では「館鼻岸壁朝市」や「南部夜市」といった大きなイベントがあるのですが、今年はそこでデーリー東北のみんなとゴミ拾いをしました。それを毎年やることでイベントの満足度を上げて、いろんな人に喜んでもらったり、交流の場になればいいなと思っています。イメージとしては、まごころサポートが「街の血液」のようになれたらと。街中に酸素を送り届けていけるような存在になりたいですね。

[ 店舗情報 ]

店舗名:まごころサポート デーリー東北南部店

店舗住所:青森県南部町大向飛鳥8-5

社名/屋号:モディ株式会社

代表:後藤 欣司

本社所在地:〒039-0103 青森県南部町大向飛鳥8-5

販売店の皆さんの熱意に惹かれ、沖縄から八戸へ

まごころサポート 八戸店 宮里 峻矢さん

以前は沖縄に住みながら、まごころサポートの運営母体であるMIKAWAYA21の社員として、まごころサポートの仕事内容をコンシェルジュの皆さんにレクチャーする仕事をしていました。その一環でデーリー東北さんのもとを訪れたのですが、そこでの皆さんの熱量に圧倒されたんです。雪国という影響もあるのか、皆さん人柄が温かく助け合いの心も持っている。しかもご飯も美味しい! それを機に八戸という街に一気に惹かれて、沖縄からの移住を決めました。高齢化が進んでいる中でも、この街ならまごころサポートが入ることでより住みやすくなる。そんな可能性を感じたんです。

八戸でまごころサポートを始めてから多くいただいたお声は「新聞社がこんなことをやってくれて助かる」というものでした。他にもいろんな業者さんがいるけれど、相場や費用がわからなかったり不安なことが多くある。だけど新聞社ならもともと繋がりがあるし、安心感があるという声が多く、看板の大きさを実感しましたね。最近では土地活用のご相談も受けるなど、相談の幅も広がってきています。

もともと新聞は、地域のネットワークを資産として持っています。そういう立場の人が新しいことを始めたり、新たに声をかけることで、街の中に生まれるものがある。シニアの皆さんの不安を、物質的なサポートだけではなく、メンタル的なサポートも含めて行うことで、払拭できるのではないかと思っています。

また、私の目標は「シニアの方に『人生の楽しみ』を提供すること」です。お困りごとを解決するのはもちろん、イベントや会話などを通して、シニアの方に楽しみや喜びをお渡しできたらいいなと思っています。そういう意味でも、まごころサポートはやりがいをとても感じる仕事です。最高に楽しい事業だと思うので、これに携われていることに感謝しています。

[ 店舗情報 ]

店舗名:まごころサポート デーリー東北八戸店

店舗住所:青森県八戸市城下2丁目4-4 折込センター2階

社名/屋号:株式会社デーリー東北新聞社

代表:荒瀬 潔

本社所在地:〒031-8601 青森県八戸市城下1丁目3-12

目標は、ひとりぼっちで亡くなる方を0にすること

まごころサポート おいらせ店 工藤 允さん

2022年10月から、新聞販売店の店主を引き継ぎました。おいらせ町で新聞配達をしながら感じたのは、草むしりや雪かきなど、季節ごとの日々の労働の中で、知り合い同士で助け合うコミュニティができあがっているということです。非常にいいことではありますが、昨今の高齢化によってそのコミュニティも長く続かないだろうという予感がありました。もしもシニアの方がご自身で行うことができなくなったら、どこにお願いすればいいのか。ひいては「孤独死してしまうシニアが増えてしまうかもしれない」という危機感もありました。

そんな時、MIKAWAYA21の青木社長がデーリー東北の本社でまごころサポートを説明してくださる機会があり、非常に感銘を受けました。まごころサポートなら、自分が課題に感じていたことを解決することができる!と感じて始めようと思ったんです。

最近では、少しずつシニアの方に信頼されてきたように感じます。つい先日も、エアコン清掃のご依頼があり、シニアの方のご自宅に伺ったのですが、普段誰かと会話をする機会がないそうで、本当に嬉しそうにいろんなお話をされました。趣味のお話から普段のお困りごとまで、私も出されたお茶を飲みつつ会話を楽しんだのですが、帰りにはたくさんお土産を持たせてくださり「今日はありがとう、これからよろしく頼むわね」というお言葉もちょうだいしました。喜んでいただけて、とても嬉しかったですね。

私としては、「孤独死してしまうシニアの方を0にする」というのが目標です。新聞販売店ならではの毎日の見守りを活かし、コンシェルジュとしても常に気にかけ寄り添うことで、誰にも気づかれず亡くなっていた、というケースをなくしたいと考えています。

おいらせ町は青森の中で人口が増えている数少ない街。今後まごころサポートを通してイベントを企画し、さらに活気を作っていきたいと思っています。

[ 店舗情報 ]

店舗名:まごころサポート デーリー東北おいらせ店

店舗住所:青森県おいらせ町下明堂21-2

社名/屋号:株式会社デーリー東北おいらせ専売所

代表:工藤允

本社所在地:〒039-2224 青森県おいらせ町下明堂21-2



続きは後編で!

【全国のまごころストーリーVol.8】新聞販売店だからこそできる「街づくり」とは? 『デーリー東北』8つの新聞販売店が目指すもの。【後編】

<Photo:関 愉宇太、Text:土門 蘭>

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