溝端 優子さん|
まごころサポート 新山口すずき店
わたしのハンデキャップが
頼ってもらえるきっかけに

わたしのハンデキャップが 頼ってもらえるきっかけに

溝端 優子さん|まごころサポート 新山口すずき店

「シニアとお話をするのが好き」という溝端さんにとって、コンシェルジュはまさに天職。<まごころサポート 新山口すずき店>のオーナー曰く、「溝端さんが担当すると、お客さまの表情が明るくなる」そう。一方で、溝端さんの持つハンデキャップが思いがけずシニアとの距離を縮めるなど、自身もさまざまな驚きや楽しさを感じています。

取材・文|仲野 聡子 写真|山田 薫

まごころサポート 新山口すずき店

溝端 優子さん

1966年、山口県生まれ。介護職、音楽教室講師などの経歴を持つ一方、SF近未来アニメ好き。「銀河鉄道999」にはじまり、「攻殻機動隊」「新世紀エヴァンゲリオン」がお気に入り。「『シン・エヴァンゲリオン』は2,3回観ないと理解できませんね(笑)」

お手伝いをしながら、教わっている

私は今まで、さまざまな仕事を経験してきました。冠婚葬祭スタッフ、介護職、音楽教室の講師…。そして次の新しい仕事を探しているときに「まごころサポート」を知ったんです。小さい頃からおじいちゃんやおばあちゃんが好きで、よくお話しをしていたことから「あ、私に向いているな」と思いました。困っている人を助けたくなる性格もあって、これはぜひチャレンジしたいと思い、運良く採用していただいたというわけです。

普段はお客さま宅を訪問して電球交換や草刈り、網戸の修繕などのお手伝いをしています。エアコン清掃など、少し大変なお仕事の場合はほかのコンシェルジュに応援要請をして、複数人で共同作業をすることもありますね。私はまだまだ完璧ではありませんから、ほかのコンシェルジュから学ぶことも多いです。少しずつ、技術を身につけさせてもらっています。依頼主さまのお話し相手になることも多いですよ。シニアは人生の大先輩。人それぞれにドラマをお持ちなので。

大切にしているのは、まずお話の内容を否定しないこと。私も気持ちを寄り添わせて、ときには励ましたり、前向きな気持ちになれるような言葉をかけたりしています。たとえば「夫が亡くなって寂しい」と言われたら、「きっといつもそばにいてくださっていますよ」というように。みなさんがこれまで胸に溜めてきた、誰にも話せなかったことを吐き出せたあとの明るい表情を拝見できると、この仕事をやってよかったと感じます。そして、私が経験したことのない気持ちまでお聞かせいただくことで、その経験がいつかまた誰かの役に立つんじゃないか、という思いもあるんです。資格を持ってヘルパーなどの仕事をされている人はもちろん、困っている人に手を差し伸べてあげたいと思える人であれば、コンシェルジュに向いていると思います。

尊敬の念を忘れず、ときに同じ目線で

私は体が強いほうではなく、手の手術もしているので力仕事も得意ではありません。でも、だからこそわかる気持ちもあるんです。ある日、草むしりをしながらお客さまとお話しをしていたら「耳の聴こえが悪くて補聴器を買ったのに、電池交換の仕方がわからないの」と言いました。実は私も補聴器のお世話になっているので、「この電池はこうすれば取り替えられますよ」「ここで調整すれば聴こえ方が変わりますよ」と教えると、いつもは物静かなその方の表情がパッと明るくなったんです。心から思いました。お役に立てて良かったなって。

同じ目線でお話ししているように見られるかもしれませんが、本当は同じ目線ではいけないんですよね。相手は人生の先輩なので、尊敬の気持ちを必ず持たなければ。心に尊敬の念を抱いていないことは、すぐに相手にも伝わります。いまの日本があるのも、私が存在していられるのも、シニアのおかげ。そういう思いで、いつも接しています。

人生の先輩から教わることは本当に多いです。まず、人を大切にするということ。人間はひとりでは生きられません。「親切にしてあげたり、困っているときに助けてあげたりすることで、必ず自分が困っているときに誰かが手を差し伸べてくれるよ」というお客さまの言葉が、ずっと心に残っているんです。やがて歳をとれば、私も誰かのお世話になります。困ったときはお互い様ですから、人との関わりは常日頃から大切にしておかなければなりませんね。

頼られることで保てる、大事なつながり

働き方は週に何日と決まっているわけではなく、スケジュールの合う日に訪問させていただくという流れでやっています。どうしても行くことができない日でも、「あの人が気になるなぁ」と思ったら電話を差し上げたり、時間を見つけてお家に様子を見に行ったりしてしまいますね。この仕事をする前から顔見知りのシニアには「元気?」と挨拶に行っていたので、仕事との境界線が曖昧ではあるんです。サポートに伺ったときも「お茶を持って帰りなさい」「おやつどうぞ」と、みなさんとても親切にしてくださるんですよ。

対面の大切さは心から感じます。電話でもご依頼は受け付けているのですが、どうしても小さい困りごとだと「そんなことくらいで電話するなんて…」と思われる人が多いようなんですね。それが「最近いかがですか?」とこちらからお声がけすることで「じゃあ、お願いしようかしら」という気持ちになるようで、その場でご依頼いただくことも増えてきました。「今後は定期的にまわりますね」と話すと、みなさんとても喜んでくださいます。お会いできなければ、私は手紙を置いて帰りますね。

ひとり暮らし、老夫婦だけの世帯が増えるなか、「この程度のことを人に頼むのは申し訳ない」「弱音を吐いてはいけない」と思う方もまだまだ多いのですが、みなさん、もっと人を頼っていいと思うんです。ご挨拶だけの関係でも、「いつも雨戸を閉めて寝るから、朝になっても開いてなかったら何かあったと思ってね」といった大切な言葉が聞けることもあります。それを隣り近所の奥様方に伝えると、「わかった、気をつけておくね」と気にかけてくれるようになりました。地域のつながりが希薄になっている今だからこそ、コンシェルジュとして、それを絶やさない世の中をつくっていきたいですね。

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