前原 亘輝さん|
まごころサポート 沖縄みやぎ店
ずっと可愛がってくれる、
おばあのためにも

ずっと可愛がってくれる、 おばあのためにも

前原 亘輝さん|まごころサポート 沖縄みやぎ店

大学時代に学生と両立してイベント運営会社の責任者でもあった前原さん。コロナ禍でさまざまなイベントが中止に追いやられるなか、自分を見つめ直すために<まごころサポート 沖縄みやき店>に登録しました。持ち前のコミュニケーションスキルを活かして、おばあやおじいの頼れる存在に。若干23歳のコンシェルジュはただやさしいだけでなく、ギラギラとした野心を秘めていました。

取材|加藤 将太 文|仲野 聡子、加藤 将太 写真|山田 薫

まごころサポート 沖縄みやぎ店

前原 亘輝さん

1998年、沖縄生まれ。名前の「亘輝」はTUBEファンの父親が命名。ボーカルの前田亘輝さんの名前「のぶてる」を音読みに。阪神タイガース時代の鳥谷敬選手に憧れていた野球少年。高校までショートとして活躍した。

自分を見つめるため、コンシェルジュに

大学在学中にイベント運営会社の請負事業部の責任者を任されていました。東京読売ジャイアンツのキャンプやオープン戦の運営、安室奈美恵さんのフェスの制作などに携わっていたんです。

卒業後は社員としてがんばろうと考えていたところ、コロナ禍でイベントが軒並みキャンセルに。スタッフからは「仕事ありませんか?」と相談されて、クライアントからは「ごめん、仕事なくなった」と謝られることの繰り返し。「このままどうすればいいんだろう…」と途方に暮れていたときに、<まごころサポート沖縄みやぎ店>の社長と出会って、「まごころサポート」に興味を持ちました。

ぼくの両親は看護師。5,6歳のころはほぼ毎日病院にくっついて行き、隣接するデイサービスで利用者と遊ぶ根っからのおじいちゃんおばあちゃんっ子でした。兄は社会福祉士の国家資格者だけど、<まごころサポート>では介護資格がないぼくでもシニアの助けになれる。自分を見つめ直すためにも、コンシェルジュとして働きたいと申し出たんです。

地元シニアの頼れる相談相手になりたい

いまは庭の草むしりや重い荷物の持ち運び、ハウスクリーニングなどを担当しています。沖縄は全国の<まごころサポート>の中でも、エアコンクリーニングの依頼が多いんです。というのも、春先にお墓の前に親族が集まって食事をする『清明祭(シーミー)』というお祭りがあって、多い家では30,40人も集まるんですね。その時に自宅でエアコンをフル稼働させるので「汚れが気になるわ」と、クリーニングを依頼するお客さまも少なくありません。

ぼくの活動エリアは地元ということもあって、お客さまの中にはぼくが生まれたころから可愛がってくれている92歳のおばあもいるんです。

コンシェルジュの仕事をすると報告に行ったら、「亘輝はやってくれると思ってたさあ」と喜んでくれて。旦那さんが亡くなってから散歩している姿を見なくなって、ずっと心配だったので、ぼくもこのような関係で末長くお付き合いできるのは、とてもうれしいです。おばあはお手伝いが終わると必ずと言っていいほど、さんぴん茶や黒糖を出してくれるので、ぼくは何歳になっても子どもなんだなと。おばあはイチローの大ファンで現役時代の新聞記事をスクラップしているほどなんですよ。

<まごころサポート 沖縄みやぎ店>は2020年に立ち上がったばかり。平均年齢27歳と若くて元気があります。シニアのみなさんに知っていただくためには、一軒ずつ訪問してご挨拶することが大切です。もちろん「必要ないよ」「まだ元気だから」と断られることもあります。ぼくがお手伝いしている宜野湾市にお住まいのおばあも、最初は笑顔なしで無言の対応でした。ところが何度か通っているうちに、積極的に話してくれるようになって表情が変わってきたんです。

最初と比べると考えられませんが、今ではゴミ捨て、雨漏りの修理、粗大ゴミ出しなど、たくさんの依頼をいただいています。なぜここまで関係を深められたかというと、おばあが抱えている家族の悩みごとを話してくれたことがきっかけなんですね。ぼくは仕事を獲りに行くのではなくシニアと仲良くなりたいというか。良き相談相手になれたらいいなという気持ちを持って訪問しています。

イベント運営の経験を活かして、シニアの場づくりを

この仕事を通して驚いたのは、「こんなにも困っているシニアがいるのか」ということ。優雅に老後を暮らしている人が多いと思っていたのに、立つこともままならず、高いところのものを取れない、家族と疎遠で頼れない、そもそも身近なところに相談できる人がいない、という人がたくさんいます。たまにSNSを通して「ウチのじいちゃん、ばあちゃんをサポートしてほしい」と、ご家族の方から依頼されることもあるんです。

もっと、<まごころサポート>を広めて、シニアが困ったときに連絡できる存在になりたいですね。今日は市議会議員にアポイントをとっているので、これから<まごころサポート>の事業を説明しに行くんですよ。地道な営業活動だけでは限界があるので、シニアのクチコミや時には行政の力も借りて、<まごころサポート>を知っていただけたら。

ぼくはこのように積極的に行動するタイプですが、コンシェルジュは自分の強みを活かせる仕事だと思います。たとえば、コミュニケーションが得意な人であれば、お客様のニーズを深掘りしてお仕事をいただくことができるでしょうし、日曜大工が得意な人はハウスリフォームの提案ができたりと、その人らしいコンシェルジュとしての働き方を実現できるはず。ぼくの場合、いつかはイベント運営の経験を活かして、わいわい集まることが好きなシニアたちの場所づくりもできたらいいですね。

苦しいことがあっても足を止めずに挑戦し続けてきてよかった。これからも一つひとつの困りごとに自信を持って対応して、頼んでよかったと思えるちょっとした幸せを提供していきたいと思います。

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