全国のまごころストーリーVol.5
役割を果たすことが、地域づくりに。
まごころサポートと作る、
新しい薬局のかたち。【前編】

2022/09/21

まごころストーリー

全国のまごころストーリーVol.5 「まごころサポート 青山スタイル薬局店」

岩手県盛岡市にある「スタイル薬局」。

ここで、一年前からまごころサポートの活動が始まりました。

 

薬局業界のあり方や行く末に、危機感を持っていたという代表の平山智宏さん。

なぜそこで平山さんは、まごころサポートへとチャレンジしたのでしょうか。

 

経営者としてのスタンスや、地域における事業の役割など、さまざまなお話を伺いました。

平山さんのチャレンジ精神の源を紐解いていったインタビューです。

 

前編後編の2回に分けてお届けいたします。

必要なのに、誰も手をつけられない仕事

薬局を運営しながら在宅医療も取り組んでいる平山智宏さん

ーまずは平山さんの自己紹介をお願いできますか?

岩手県で「スタイル薬局」と「こまくさ薬局」という保険薬局を経営しています。この度、スタイル薬局の方でまごころサポートをスタートしました。

私はもともと岩手県出身で、今の薬局から近いところに住んでいたんです。私が6才のときに父が開局し、その後私も薬剤師となり、最初は札幌の大手チェーン薬局で働いていました。そこで4年働いたのですが、「薬剤師が足りない」と父に言われ、2010年にこちらの薬局に入社。2017年に父の跡を継いで代表に就任し、現在に至ります。

ー昨年まごころサポートを導入されたとのことですが、その理由は何だったのでしょうか。

現在私たちは、薬局での調剤だけではなく、在宅医療にも取り組んでいます。介護保険の中の「居宅療養管理指導」という枠の中で、高齢者の方の薬の管理、副作用チェック、体調管理などをしているんです。

それで高齢者の方のお宅にうかがうことが多いのですが、私たちやヘルパーさんが入っているものの、そこから漏れている事柄がいろいろとあるのに気がついたんですね。「必要なのに、誰も手をつけられない仕事があるな」と。

お客様の薬を調剤する様子

ーそれはどういったものでしょう?

たとえば、私がある高齢者の方のお宅をうかがったとき、テーブルの上に新品の電球が置いてあったんです。「これどうしたんですか?」と聞いたら、「トイレの電球を変えたいのだけど、頼む人がいない」のだと。そのときは私が付け替えたのですが、その仕事って、薬剤師の専門性云々とはまた別のものですよね。親切心でやるには構わないけど、私たちも薬剤師のライセンスを使って、一人でも多くの方のご自宅へ行き仕事をしないといけない。要は、そこに時間がかけられないんです。

ー確かに、それは薬剤師の仕事ではないですよね。

現在、在宅医療のニーズは増えています。私たちも依頼がどんどん来ていますが、対応するだけで大変な状況で、ひとりになかなか時間がかけられません。そんな中で他の仕事まで担うと、薬剤師が疲弊してしまう。ただ、高齢者の方が困っているのは間違いないんです。

そういった中で、どうすればいいのかをずっと考えていました。「自分たちでやってみようかな」とも思いましたが、ビジネス化するのは難しそうです。

それでいろいろ探していたら、SNSにまごころサポートの広告が出てきました。フランチャイズだからすでにノウハウも持っているし、システム化されていてサポートもある。他にも似たようなサービスを持つ何社かに説明を聞いていたのですが、うちにマッチしそうなのはここかなと思い、加盟することにしました。

1つ目は、シニアに特化していたことですね。自分たちがやりたいことと合っていました。

2つ目は、自分たちの事業規模に依存しないことです。新しい事業を自社のスタッフで行うとなると、新しく人を抱えないといけません。そうすると膨張していってしまうし、うちのスタッフは前提として医療に関わりたい人たちなので、「高齢者のお宅の草取りをしてきてね」と言うのは違うだろうな、と。

一方でまごころサポートでは、「コンシェルジュ」という働き手を外部から募ります。それならば今の事業に影響を与えることは少なそうです。うちからはひとり、もともと総務をしていた社員をコンシェルジュの統括に置き、彼にまごころサポートを任せてスタートしました。

既存の事業規模に関わらず、新しい事業を組み込めることが、まごころサポートを始める決め手でしたね。

業界の現状に合わせた、働きやすい環境を

ー薬局が新しい事業に挑戦するということ自体、珍しいことではと思うのですが、現在の薬局業界はどんな状況なのでしょうか?

うーん、暗黒期ですね(笑)。大変な時期です。

ー暗黒期!

はい。特に保険薬局という形態では、小さいところは生き残りにくいと思います。と言うのも、1店舗あたりの利益率がどんどん下がっているんですよ。

2年に1度、診療報酬の改定が行われるのですが、保険薬局の売り上げはそれにもろに影響を受けます。国は、できるだけ私たちにやらせたい業務に点数をつけるので、ハードルが高い業務ほど点数が高くなっているんです。プラスアルファの在宅医療など、ウェイトの高いものは点数が高いのですが、外来で薬を作って確認して渡すという、皆さんに身近な仕事の点数は下がり傾向にあります。

ー何でどれだけ売り上げを上げるのか、国の方針に左右されてしまうんですね。

はい。それに、薬代も下がってきています。そうすると当然利益額も悪くなりますし、そもそも薬を売ることで得る利益なんてほとんどない状態です。

ーそうなんですか! 薬を売れば売るほど儲かるのかと思っていました。

薬代はほぼ儲けになっていないですね。私たちの利益は、薬を渡すときの指導料とか、調剤報酬から出ているんですよ。だから、薬をたくさん処方してもしなくても、粗利は大きく変わらないんです。まあ、薬を出せば出すほど儲かる構造だと問題になりますからね。

なので、指導料が主な利益になるということは、患者さんとの接触回数が肝になります。来店されなかったら儲からない。だからコロナの影響も大きく受けているんです。

スタッフの方と会話する平山さん

ーコロナ禍で利益が上がっているのだと思い込んでいましたが、逆だったとは驚きました。平山さんはそんな現状の中で、どのように対策を打たれているのでしょうか。

うちが取り組んでいるのは機械化と分業化ですね。薬作りは機械にさせるなど人が関わる部分を減らして、薬剤師がしなくてもいい仕事については医療事務の方に担ってもらっています。

そうして薬剤師の時間を作ることで、在宅医療などの仕事に取り組めるようにしています。個人宅や施設を訪れる在宅医療は、定期的に行くので季節変動が少ない。そういった仕事に薬剤師が集中できる環境づくりを行なっています。

続きは後編で!

全国のまごころストーリーVol.5 役割を果たすことが、地域づくりにつながる。 まごころサポートと作る、新しい薬局のかたち。【後編】

 

<Photo:関 愉宇太、Text:土門 蘭>

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