「いちゃりばちょーでー
(僕の周りの人たちはみんな兄弟)」
を胸に。

2022/07/26

コンシェルジュ紹介

高嶺 結知郎さん|沖縄県 コザ大丸商店

各地域の “素敵コンシェルジュ” が持つ信念やこだわりを紹介する、こちらの特集。

 

今回登場するのは、『まごころサポート コザ大丸商店』の高嶺さん。

 

故郷・南風原町のローカルヒーロー「ヒュート」を演じる役者として活躍しながら、まごころサポートのコンシェルジュとしても活動しています。以前は、結婚式場のエスコート役としてのお仕事にも携わっていたという彼の、お仕事に関する想いに触れてみましょう。

結婚式場で、プレッシャーに打ち勝つための心持ちを学んだ

ー高嶺さん、今日はよろしくお願いします!

高嶺さん よろしくお願いします!

ーまずは、これまでのご経歴を教えてください。

高嶺さん 高校生の頃、卒業する一ヶ月ほど前から、結婚式場の「エスコート役」のアルバイトをやっていました。沖縄の結婚式は300人以上の人々が集まるほど大きなものが多いのですが、その式で、新郎新婦の入場をサポートするようなお仕事ですね。

ーかなりの大舞台ですね……!

高嶺さん 緊張感も相当あったのですが、堂々と構えて仕切らなければならないので、忍耐力や度胸がすごく必要になってくるお仕事でしたね。現在は、地元・南風原町のローカルヒーロー「ヒュート」を演じる役者として活動しつつ、まごころサポートのコンシェルジュとしての仕事も両立しています。

ーローカルヒーロー。なかなか珍しいお仕事ですね。それは、どのような経緯で始めたんですか?

高嶺さん 小学生の頃、沖縄の「平和学習」という取り組みがあって。昔も今も気持ちは変わらないのですが、僕は沖縄の文化に大きな興味を持っているため、当時から熱心に学んでいました。大人になった今もその想いを変わらずに持っていて。当時小学生だった僕が沖縄文化を学ばせてもらった「文化センター」に、2020年11月ごろ足を運んだところ、ヒーローのお仕事のお話をいただきました。

ーほうほう。

高嶺さん ヒーローのお仕事としては、2022年4月に、舞台出演を果たすことができたんです。「ヒュート」というキャラクターそのものが誕生するまでのストーリーを描きつつ、ヒーローショーに繋がっていくようなストーリーで。僕にとって初の舞台経験でしたし、しかも主役ということで少々緊張はしたものの、とても楽しかったことを覚えています。

ーそのお仕事を通じて、学んだことや成長を実感できたことはありますか?

高嶺さん ヒーローとして振る舞うことで、自分に少し自信を持つことができたような気がします。楽しいけれど、プレッシャーもありますし。結婚式場で働いていたことが活きたなぁと感じますね。

「いちゃりばちょーでー(僕の周りの人たちはみんな兄弟)」の心で、サポートを

ー次に、高嶺さんが携わっているまごころサポートのお話を。きっとさまざまなサポートをしてきたと思いますが、その中でも特に思い出に残っているものはありますか?

高嶺さん 「キナさん」という男性の方が、特に思い出に残っています。僕がキナさんのサポートを始めた当初は、正直、すごく冷たい態度の方だなぁという印象でした。ただ、サポートの回数を重ねるごとに、どんどん心を開いてくれて。最初はお買い物の代行サポートをさせていただいたんです。

ーうんうん。

高嶺さん それから何度もサポートするにつれて、20分、30分と、一緒にお話をする時間が長くなっていって。「最近どんなねー?」と聞きつつ、世間話をするような仲になれました。キナさんは、サポートを始めた当初から「ちょっと具合が悪いんだよねぇ」といつも話していたけれど、話を終えると決まって元気になってくれて。沖縄には独居をされている方が多いのですが、やっぱりコミュニケーションのひとつひとつが大切なんだなぁと感じますね。

ーサポートそのものも大切だけれど、それ以前の「コニュニケーション」ですね。

高嶺さん まさにそうですね。サポートがないときでも、お話をするためだけに、会いに行くこともありますよ。

ーなるほど。ただ、会いに行くような。

高嶺さん キナさんが髪を切った日にお会いした際、「髪切ってさっぱりした方がかっこいいじゃないですか!」と話したら、なぜか涙を流して喜んでくれたんです。

ーそれは……?

高嶺さん それって、ただの会話じゃないですか。「かっこいい!」って。そのシーンで涙を流しながらはにかんでいるキナさんを見て、日々の寂しさがきっとあるんだろうなぁということが、ふと伝わってきたんです。そこで改めて、コミュニケーションの大切さを感じましたね。

ー感動的ですね。たしかに、何気ない会話が気持ちを和らげてくれることって、ありますよね。他に、思い入れの深い経験は何かありますか?

高嶺さん いくつもあるのですが、特に「ほっこりしたサポート」がありました。僕がコンシェルジュのお仕事を始める際、最初に担当したお客さんですね。不用品の回収作業や物の移動などのサポートを重ねていくうちに、「あなたたちとはこれからも長い付き合いをしていきたい」と言ってもらったんです。

ーすごく良い経験だなぁ。

高嶺さん 2年後、3年後の話をしてくれること、これからも僕たちと一緒にいるビジョンを見てくださっていることに、とても感動しました。最初のご依頼は、たしか、ガジュマルの木の伐採でしたね。高さは4,5メートル、かなりの太さがある木だったのですが、それをチェーンソーで根っこから切り落としたんです。

ーもう、プロの仕事じゃないですか(笑)。

高嶺さん たしかに、結構大変でした(笑)。ただ、そのサポートをさせてくださるお客さんが、沖縄の文化をたくさん教えてくれるんですよ。そこでの会話が、これからの依頼にも繋がっていくんですよね。サポートはもちろん、普段の何気ない会話から、つながりが生まれていって、その結果素敵なご縁になっていく。それがとてもうれしいなぁと感じます。みなさんが心を開いてくださった時は、本当にうれしいですね。

ーそれはすごく貴重な体験ですね。すごく良いなぁ。高嶺さんがまごころサポートのお仕事に関わる上で、もっとも大切にしていることはどういったものなのでしょうか?

高嶺さん 沖縄には「いちゃりばちょーでー」という言葉があるのですが、それを大切にしていますね。

ーいちゃりばちょーでー、ですか。

高嶺さん 「僕の周りの人たちはみんな兄弟」という意味の言葉ですね。小さな頃から、自分の祖母が大好きだったのですが、彼女はそういう生き方を体現しているような人だったんです。親戚が集まれば、みんなと一緒に「むーちー」と呼ばれる餅のようなおやつを作ってニコニコしていたり。みんなに優しい人だったんです。

ーまるで、みんなのことを兄弟だと思うかのような。

高嶺さん 地域でも名の知れた人だったみたいで。とっても優しいから。人と人とをまとめること、人のお世話をすることが大好きなおばあちゃんのことを尊敬していたし、僕もそうありたいなぁと感じているんです。そんな想いで、まごころサポートのお仕事を一生懸命続けています。

 

Interviewer:鈴木孝英(MIKAWAYA21)

Text:三浦希

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